今日は「津軽塗」についてまとめていきたいと思います!津軽塗は漆の塗り物の中でも有名な伝統工芸品の一つですが、その特徴や産地、技法等を詳しくまとめてみました!
津軽塗とは?
名称 | 津軽塗(つがるぬり) |
分類 | 漆器 |
産地 | 青森県 弘前市、青森市、黒石市、平川市、藤崎町、板柳町、深浦町など |
製品 | 箸、汁椀、家具、座卓、茶器、食器、文箱、盆類、硯箱、花器など |
「津軽塗」の正確な定義というものは存在しないが、一般的には津軽地方で生産される伝統漆器の総称とされる
定義ないんかい!とつっこみつつ、さらに深堀りです。なんたって、経済産業省指定の国の伝統工芸品。もっと詳しくなっていて損はありません。
津軽地方における漆器産業としての伝統はさらに古く、江戸時代中期にさかのぼります。津軽塗は青森県唯一の、経済産業大臣指定伝統工芸品でもあり、この経済産業省指定の伝統工芸にはいくつかルールがあるのです。
そのなかでも特徴的なのが、「一定の地域で産地形成されていること」があげられます。
「一定の地域で産地形成されていること」とは?
「一定の地域で、ある程度の規模の製造者があり、地域産業として成立していることが必要です。ある程度の規模とは、10企業以上または30人以上が想定されています。個々の企業だけでなく、産地全体の自信と責任に裏付けられた信頼性があります。」
参考(財団法人 伝統的工芸品産業振興協会)
つまり、青森県内の伝統工芸品の中で、産業として成立し業界が形成されているのは津軽塗だけ、ということになります。産業として成立しているかどうかがポイントだそうです。
津軽塗の特徴は?
堅牢で実用性に富んでいる
非常に優美な外見を持つ
津軽塗は日本最北端の漆器産地、青森県弘前市を中心とする津軽地方の伝統的な漆器。その特徴は、堅牢で実用性に富んでいると同時に、非常に優美な外見を持つ、というところにある。津軽塗で用いられる「研ぎ出し変わり塗り」という技法は、幾重にも塗り重ねた漆を平滑に研ぎ出して模様を表す方法です。この繰り返しに数十回の工程、二か月以上の日数を費やすことで、複雑で美しい漆模様と、頑丈でしっかりした触感が得られるのだと言えるそうです。とても手間のかかる工芸です。
津軽塗は模様であり塗りである
藩政時代には様々な塗の技法が存在したが、現代まで伝わっているのは代表的な四種類の技法(唐塗、七々子塗、錦塗、紋紗塗)があり、これらを基に作られていることから、津軽塗は模様であり、塗りであるということが言えます。多くの産地の漆器は塗装した上に模様を施したものがほとんどですが、津軽塗は何層も塗り重ねていることから、底から発する奥行きがあり、器にへばりついた力強さがあります。
津軽塗の代表的な技法4つ
唐塗(からぬり)
津軽塗の代名詞、定番中の定番「唐塗」。 鮮やかな色漆の断層模様が浮かび上がる深い味わいと幻想的な輝き、素朴で力強ささえ感じさせる重厚な塗り。唐塗は津軽塗の代表的な4技法の中でも最も古い歴史を持つ塗りで、津軽塗の技術的特色が集約された技法です。唐塗の「唐」には、当時の高級な舶来品「唐物」にちなんで高級感・珍しさの意味を込めたものだと言われています。 唐塗は「呂上げ」「黒上げ」「赤上げ」等、地色の違いなどにより多彩なバリエーションがあります。
七々子塗(ななこぬり)
江戸小紋風の小さな輪紋を散りばめた、上品で高級感の漂う塗り。 唐塗とはがらっと雰囲気が変わり、繊細で可愛らしく、特に赤や朱の使われている塗りは女性に圧倒的な人気を誇ります。 七々子塗は、その小さな輪紋模様が魚の卵(ななこ)に似ている所から「ななこ塗」 と呼ばれるようになりました。その輪紋は菜種を使用して作り出され、これをムラなく綺麗に仕上げるにはとても高度な技術を要します。津軽塗職人の中でも、美しい七々子塗を仕上げることのできる職人は少なく、とても高級な塗りです。
紋紗塗(もんしゃぬり)
津軽塗の中で異彩を放つ、黒一色の渋い塗り「紋紗塗」。 黒漆の模様に紗(津軽地方で、もみ殻のこと)の炭粉を蒔き、研ぎ出して磨き仕上げます。 艶消しの黒の地色に、艶のある漆黒の模様が浮かび上がる様は、重厚で格式を感じさせるとともに、シンプルで現代のライフスタイルにも取り入れやすく、近年人気が高まっています。
錦塗(にしきぬり)
錦塗は七子塗りの変化の一種で、ななこ地に黒漆で唐草や紗綾形を描き錫粉を蒔いて錦を想わせるような華やかな技法で、製作には非常に手間がかかり、高度な技術を要します。その豪華絢爛ぶりは、金や銀の蒔絵に憧れた津軽塗職人の意地と情熱によるものと言えます。